日本針穴写真協会 2019年9月29日(日)例会ご報告


日    時: 2019年9月29日(日)14:30‐16:30
場    所: 神楽坂トワイシア・ヒルサイドレジデンス パーティルーム
出 席 者: 6名(会員3名 理事3名)  遠藤優、中島正己、田所美惠子

9月も終わりだというのにまだ真夏のような陽気の日曜日の午後、会員3名と理事3名の計6名がいつもの会場に集まりました。
Taさんと、前回の例会に来られなかったEyさんとが隣同士で挨拶代わりに交わすのはゾーンプレートの話題。一見シンプルな光学に見える針穴やゾーンプレートも、Taさんのような研究者の手にかかれば「フィボナッチ数列」「黄金比」など、自然界に存在するものや仏像などと同じように、数学的に解き明かされる対象になり、科学の奥深さを感じます。
Eyさんが披露した写真は、富士フイルムのGFXに50oのゾーンプレートを付けて撮影した豊洲の超高層ビルと古い鉄橋のカラー、そしてパノラマピンホールカメラ(60o×120o)で撮影したカラーをモノクロにして加工した木立の写真。前者はどこまでもまっすぐ屹立する建物、後者は赤外線写真のような効果がとても印象的です
工作の得意なSaさんは、蛇腹の付いた200mmのゾーンプレートの4×5カメラと作例を披露しました。絞りはf/90で、カラーとモノクロフィルムで撮影された4枚の写真のうち、ストレートにカラープリントしてもらったものは、靄が掛かったような淡いピンクとグリーンの不思議な発色ですが、その原因はゾーンプレートの特性によるものだそうです。
今年の会員展でサイアノプリントを初めて出展したOgさんですが、今回の例会では大判ネガの焼き付けに活用しているという意外な物を披露してくれました。それはネット販売している完璧に密封できる真空パックと小型真空密封機DZTSMARTです。大判ネガとBergger社のペーパーCOT320(コットン100% 8×10 25枚入り)を中合わせにし、自作した2o厚のアクリル板と黒色のボードの間に挟んだ後、地模様などのない透明なパックの中に入れて真空密封してから露光します。会員展の時の画像と比べてもクリアで、その成果が現れているのがわかります。従来の密着焼き付け用の大がかりな装置の代替として、手軽に古典技法を楽しみたい人や断捨離を考えている人に大いに役立つことでしょう
奇想天外な手作りカメラといえばやはりNaさん。今回披露されたカメラの奇抜さ(でも美的)に参加者の視線が集まりました。100円ショップで売られている銀色の缶をボディにしたカメラは、蓋の部分にフイルムの巻き上げ用のつまみと装飾的なカウンターが並んでいます。ボディの内部には鶏1羽を丸ごと捌くようにHOLGA一台分を分割したものがびっしりと収められていて、そこにブローニーフィルムを仕掛けるという、かなりアクロバット的な換骨奪胎ぶりです。カラーの作例では、葉っぱに置かれたセミの抜け殻が映っていますが、パノラマサイズの中で明暗が縞になっているのは、焦点距離が極端に短い中心部と長い周辺部からなるコマを二コマずつ使って撮影しているからだそうです
針穴愛好者が発揮するそれぞれの「変人ぶり」に感心しながら、楽しいおしゃべりで大いに盛り上がりました。次回の例会は12月に忘年会を兼ねて開催を予定しています。詳細は11月上旬にお知らせします。大勢の皆さまのご参加をお待ちしています。(田所


皆様お疲れ様でした。